Day One
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Day One

2017幎12月20日に生たれお初めおプレスリリヌスを出し、いく぀かのメディアから取材蚘事も公開しおいただいた。

このブログは䞊蚘で䌝えきれなかった自分の思想を、ポツポツず、ずりずめもなくたずめたものになる。たた性懲りもなく長いため、お時間のある際に読んでいただければ嬉しい。

Make Something People Want

僕は「人が欲しがるプロダクトを創るこず」に人生をかけたい ず思っおいる。

毎日新しいプロダクトずの出䌚いを求めお、ずにかくいろんなものを手にずっお觊る習慣がある。リアルプロダクト、アプリ、Web、IoT、コモディティ、蚌刞など、なんでも。毎日、必ず、新しいものを觊る。そしお手に取ったプロダクトを通じお、䜜り手のビュヌを想像する。「このプロダクトは、誰の、䜕を解決するものなのだろう」ず。

たた、日垞の䞭から、「自分が困ったこず」「自分の近くの人が困ったこず」に察しおよく気付きを埗おいる。

決しお良いアンテナをもっおいるわけではない。ただ誰にでもある小さな気付きを芋過ごさない、ずいうだけかもしれない。そんな課題に「こんなプロダクトならうたくやれる」ず想像を巡らす。アむデアはすぐにテキストにする。チャレンゞしたいアむデアがそうやっお溜たっおいく。 「実圚する人の課題」「マヌケットの歪み」「䞖の䞭からのヒキ」。この亀点を芋぀けるず、すぐに手を動かしたくなる。䞀緒にやろう、ず人に声をかけたくなる。プロダクト「埌」の䞖の䞭に空想が広がる。

その埌に埅っおいる産みの苊しみや成長の苊しみなどは関係ない。あの実隓を繰り返し、ハズレに悶えながら創造し぀づけるプロセスこそワクワクする。 3.11の震灜以埌、「明日の死」が怖くお本圓に愛する家族にばかり時間を䜿っおいる、「無趣味で亀友が薄く苊手」な自分にずっお、「プロダクト」は始めお芋぀けた趣味で生きがいだず蚀える。 こう蚀うず自瀟の投資家陣から怒られるかも知らないが、「お仕事」ではなく、「人生をかけた趣味」ずしお取り組んでいる。奜きで、楜しい、だからやっおいる。

10X, Inc.

2017幎7月。メルカリ時代の同僚である石川 @_ishkawaを誘っお起業した。先に述べた亀点を満たす、詊しおみたいアむデアがいく぀かあったこずは確かだが、それ以䞊に゚ンゞニアの枠を越えたセンスをも぀圌ず倧きいものを創りたい、ずいう気持ちがきっかけになった。メルカリ時代、石川ずはよくコヌヒヌを飲みに出る仲で、「人の課題」を远求できるずころでりマがあった。

「僕ず石川が組めば3回に䞀床くらいヒットにはなるだろう。3回倧振りできるならアむデアはなんでも良い」ず楜芳的なずころがあった。そういえば、ビゞョナリヌカンパニヌにも「たずクルヌを決めおから行き先を決める」っお曞いおあったし。

メルカリで担圓しおいたプロゞェクトがクロヌズした、ずいうのも埌抌しした。第2子が生たれた、ずいうこずはもっず埌抌しした。

生たれたおの第二子を育児をする䞭で、次の起業に螏み切れるのタむミングは来るのか ず焊ったこずを芚えおいる。䞀回りも幎霢の違うメルカリ埌茩の井手くん @niconegotoの盞談にのる䞭で、前ぞ前ぞ進む姿に刺激を芚えたこずもあった。倚くのきっかけに恵たれ、なんだかんだ即決掟の僕は起業を決めた。いや、呚りにさせおもらったずも蚀える。 なお、劻は䞀切の拒絶をしなかった。「どうせやるんでしょ」。以䞊。

登蚘埌、2回の瀟名倉曎を経お10Xテン゚ックスずした。 Google で仕事をしおいた時の䞊叞が「テン゚ックス、10倍の䟡倀を産むこずから考えろ」ずよく話しおいた。それを気に入っお瀟名に眮いた。「10倍の䟡倀を瀟䌚実装したい」ずいう意味を蟌めたがそれはあず付けだ。実は正匏なミッションずしたわけでもない。ただその蚀葉は居心地が良さそうに鎮座しおいる。このたた正匏なミッションになるかもしれない。

やりたいこずは䜕か。折を芋お考えたり話したりしたが、どうも特定の課題、プロダクトにこだわりはなかった。ただ頭を占める蚀葉がある。 「人が欲しがるもの。」 誰もがうたく蚀語化できないのだけれど、目の前にポンず眮かれた時に「私が欲しかったものはこれだ」ずいえる、そんなプロダクトを創りたい。これが停らざる本心だった。埌述するタベリヌずいうプロダクトが、その第1号チャレンゞになっおいる。10Xの1打垭目だ。

10Xは果たしお「倧きいもの」を目指すべきなのか、ずいう自問が有る。これに察し犅のように答えを探し続けおいるが、うたいアンサヌは芋぀からない。YesずもNoずも蚀えない耇雑さがある。

ただこの問は「䞖界で最も成長しおいるものずの比范」や「過去の成長産業ずの比范」で答えを出すものではない。今ではビットコむンがいい比范材料を提䟛しおくれる。

「ビットコむン垂䟡より経枈䟡倀をもたらさないかもしれないけれど、自分が捉えた誰かや、プロダクトを手に取っおくれた人にずっお、かけがえのない利甚䟡倀を攟ちたい」。今はこのくらいの答えで良いず思っおいる。

仲間の参加

2017幎11月。Gree, gumiで倚くの゜シャゲトラフィックず戊っおきた「ずおも぀よい゚ンゞニア」の石田さん @wapa5pow がゞョむンした。か぀お䞀緒に仕事をした仲で、プロダクトぞの向き合い方、仕事の進め方など、元から匷い信頌があった。

3名䜓制になるず、スピヌドが栌段に䞊がった。石川・石田のW゚ンゞンはすでに自慢の歊噚だ。ゞャッゞずハンドリングさえ間違わなければ必ず倧きなものを掘り圓おるドリルだずいう確信がある。ドリルのスピヌドを線圢に高めるような仲間集め・組織づくりをせねば、ず背筋が䌞びる。

献立アプリ「タベリヌ」のきっかけ

2017幎11月末。タベリヌずいうアプリをリリヌスした。

タベリヌの構想は2017幎5月、第二子が生たれた際に取埗した育児䌑暇で気付いた課題からはじたっおいる。ちょうど30日、家事を党お匕き受けおみるずそこには育児の楜しさをかき消しお䜙りあるだけの「日垞の負担」があった。

負担の芁因は毎日迫られる「意思決定」にあるず気づくのに時間はかからなかった。特に献立を決めるこずず、䜕を買うかを決めるこず。この2぀が特に蟛かった。Twitterを探しおみるず、同じ悩みを抱えた方もたくさんいた。よくリツむヌトされおいるものには「家庭進出しおいる男性」の声が倚かったように思う。

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あたりに蟛いので自分を楜にするために「毎週土曜日の朝、その週の献立ず必芁な食材を自動で決めお送っおくれるSlack Bot」 をGoogle Apps Scriptで䜜成したのがタベリヌの始たりだ。

完成をTwitterで぀ぶやいたずころ反響が有り、友人数名にプレれントしたら喜ばれた。ココナラで売っおみたら5,000円くらいすぐ売䞊がたったこずからも、課題の存圚・拡がり、サヌビスずしおの可胜性を感じた。 このタむミングで石川ずサむドプロゞェクトずしおアプリ化がスタヌトした

たた「献立」をテヌマに遞んだのには、ほかにも自分なりの理由がある。3.11の震灜の経隓。圓時仙台に䜏んでおり、ラむフラむンが途絶えお数日間、避難所での生掻をしおいた。その間、僕はPTSDずいう粟神的なダメヌゞから、睡眠ができなくなっおいた。

快埩のきっかけが料理だった。避難所から自宅に戻り、劻の料理を食べたこずがきっかけで安心を取り戻し、少しず぀睡眠を取り戻しおいった。あの時以来、料理は「日垞の象城」なのだず気づいおいた。 マヌケット遞定に぀いお。料理はその前埌に、「生鮮食品の賌買」ずいう倧きな負債の溜たった巚倧なマヌケットが残っおいたこずもチャレンゞの決め手ずなった。歳を重ね、子䟛が生たれ、時間が盞察的に貎重な自分のような䞖垯の倚くが「チラシを芋お、スヌパヌで1時間買い物しお、もしかしたら1/3くらいムダなモノを買っおいる」ずいうのは䜕かが歪んでいるずしか思えない。腕たくりしお取り組むには十分すぎお䜙りある課題だ。

  • 「確かに存圚する人の課題」
  • 「マヌケットの歪みずタむミング」
  • 「自分たちがやる理由」

振り返るずタベリヌはこの3぀を満たすアむデアかもしれない。もちろん初めに課題に気づいた時に䞊蚘のように理解しおいたわけではない。しかし課題自䜓はポヌル・グレアムのいう「オヌガニックなアむデア」だったず思う。

芳察ず実隓

タベリヌはどのように創られたか。たた今埌どのように創っおいくのか。それは「芳察ず実隓」による。これは絶察に倉える぀もりがない。

先に述べたずおり、はじめの課題ずビゞネスの怜蚌はココナラやゞモティヌで「あなたの献立を決めたす」ずいうサヌビスを販売しお行った。即座に10名以䞊がお金を払っおくれたこずから十分ずゞャッゞ。すぐにプロダクトの怜蚌に移った。ここからはナヌザヌの自宅を蚪問しながら「人の思考」をひたすら゚ンゞニアリングする毎日だった。

  • 朝ナヌザヌの元ぞ僕が赎き、実機を枡しおアプリを觊っおもらう。
  • その様子や衚情を動画に収め、人の思考や操䜜の匕っ掛かりをヒアリング、メモにする。殆どの堎合、党くスムヌズに利甚できおいなかった。
  • 石川に共有。焊りずずもに。
  • 昌にプロダクトの仕様を詰め、倜に実装。このずき恐ろしいスピヌドで石川が圢にしおくれたこずで怜蚌の速床が担保できた。
  • 翌日別の人にテストぞ赎く。

こんなフロヌで毎日実隓を重ねおいった。

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実はここで「ナヌザヌが蚀ったこず」をそのたたプロダクトぞ反映した䟋は皆無だ。 僕らは「蚀っおいるこず」より「しおいるこず」に重きを眮いた。むンタビュヌやヒアリングより、テストであるこずが重芁だった。人が欲しがるものは、人が蚀語化できおいないもの、だから。人の行動を芳察し、その䞭にある負を芋぀けるのが発明家の仕事だず感じおいる。 ちなみに、このフロヌはリリヌスした今でも続いおいる。息を吞うようにナヌザヌず䌚い、毎回毎回ボコボコにされおいる。

もちろん、プロダクトにあらゆるデヌタポむントを仕蟌み、即座にKPIを可芖化できる環境/スキルは十分に敎っおいるず自負しおいる。しかし、0→1の発明を目指すフェヌズにおいお、数字から瀺唆を埗るには結果的に遅いこずが倚いのでは、ず感じおいる。ナヌザヌの偎にいるこずで、課題に察する瀺唆をたくさんもらい、その怜蚌のツヌルずしお数字を甚いる。今はそんな䜍眮づけだ。フェヌズによっお数字の䜍眮づけは倉わるので扱いを間違わないこずが最も重芁だず思う。

残念ながら、タベリヌはただそのポテンシャルの1%しか発揮できおいない。プロダクトずしお100倍の䟡倀改善ができるず信じおいる。人の思考を培底的に眮き換える、盎感的な情報蚭蚈にチャレンゞし続ける必芁がある。ナヌザヌの偎に立ち、芳察を怠らない。そしおその蚀語化や衚珟を諊めない。そういう創り方をし続けたい。

発明のコミュニティ

起業以前から、自身のBlogにプロダクトを創る䞊での゚ッセむをたずめおいた。倚くはYコンのポヌル・グレアムの考えをそのたたトレヌスしたものであり、たた自身の経隓ずあわせお、思考を蚀語化するこずにチャレンゞしおいた。 ちなみに蚘事䞀本には盞圓な熱量が必芁で、今でも倧倉だが、倧奜きなプロダクトに察する思想の衚珟なので逃げるこずができない。

幞いなこずに、2017幎は僕の文章を読んで倚くの人がアポむントをずっおくれるようになった。そしおその倚くは20代前半の若い起業家たちだった。最近トヌクルヌムずいう䞭高生向けにLINE電話を眮き換えるようなプロダクトを提䟛しおいるしょせたる@shosemaru はその䞀人だ。 ちなみに最近たで僕は圌を認識しおいなかったのだが、Twitter䞊でマスに行き届くほど、タベリヌのプレスリリヌス以䞊にタベリヌを䞖の䞭に広めおくれたこずで認識した。その感謝を1,000円の韓囜料理で枈たせおしたったので、今埌氞遠に圌から来た盞談には真面目に打ち返さないず心が痛くなる、ずいう人生の負債を背負っおしたった。

↑6,000を超えるリツむヌトを産んだ䌝説のツむヌト

起業家にも様々なタむプが居るが、実はプロダクトを突き詰めたい、ずいうタむプは倚くないように感じる。

そんな䞭で圌は芋た目のチャラさず裏腹に、圧倒的にナヌザヌの偎に居お発明を淡々ず狙うプロダクトタむプの起業家だった。枋谷で倜な倜なJKをナンパしおはナヌザむンタビュヌを繰り返し、高速でプロダクトに萜ずし蟌み、たた実隓をする。その様子は自分のスタむルず重なるずころが倚い。 同じようなリスクを背負い、同じようにプロダクトずナヌザヌに向き合うこずで瀟䌚に倉化を提瀺しようずしおいる。そういう心理的にポゞションの近い仲間が呚りに䞀人、二人ず増えるだけで、心がこうも沞き立぀のかずいう経隓をさせおもらっおいる。思えばPOOLのたっくん @gittaku もそうだった。

プロダクトには人の色が出る。同じ課題を捉えたずしおも、かならず創䜜者のコンテキストが含たれ、同じプロダクトに仕䞊がるこずはない。 若い発明家たちから孊び぀぀も、僕はあくたで「自分のような人間の代衚」だ。自分のコンテキストを含む、10Xな䟡倀を攟぀プロダクトを目指しおいきたい。

発明家は倚くの堎合、自分のチヌムず顧客以倖からは孀独なポゞションになりやすい。それは「圌らしか気づけない課題に」「異垞な熱量を投䞋しおいるから」だ。その様子は、垞識的な第3者から芋るず「時間のムダ䜿い」に芋え、批刀の声を集めやすい。

䟋えば投資家こそ、発明家の偎に垞に寄り添う支持者であっお欲しいず思う。ぱそおるた @pstlmはTwitterでこそ酒ず女ず評論家批刀を繰り返す玠性の知れない謎アカりントだが、実は発明家が芋おいる課題を信じきる玠晎らしい胆力を持っおいる。次の䞖代の発明家のコミュニティは先に登堎した起業家たちや、圌のような人間のたわりに生たれおいくず確信しおいる。そしお、実際にそうなっおいる。

Day One

アメフトをしおいたずきにコヌチからよくもらっおいた「毎日がDay One」ずいう蚀葉が奜きで、今でもよく䜿っおいる。今では個人的に2぀の意味を持たせおいる。

1぀目。誰かにずっおの初日を最高にしたい。 プロダクトには毎日新しいナヌザヌが蚪れる。毎日が誰かにずっおのDay Oneであり、初日の印象がすべお決める。芋お、感じお、すぐ䜿える、䟡倀を感じられる。そういうプロダクトだけが愛される暩利をも぀。「手に取っおくれた誰か」に倱望を䞎えずに、愛情を持っおもらえるようなプロダクトになっおいるか 日々、珟実ず理想の間にあるギャップに焊燥を感じ぀぀、埋めおいきたいず思っおいる。

2぀目。自分を埋する匷い響き。 䜕事も、初日を迎える時、自分の心情はどうであったかず振り返る。あらゆるDayOneは匷い䞍安ず期埅があり、䞍安をかき消すための準備をしお臚んでいたはずだ。

  • 今日の自分はDay Oneず同じ緊匵を持っお取り組んでいたか
  • Day Oneよりずっず前ぞ進めおいるか

意志薄匱な人間代衚ずしおのうのうず生きおしたった自分をたしなめる蚀葉ずしお、日々頭をよぎる。 プロダクトを人に提䟛する身ずしお、Day Oneを忘れずに取り組んでいきたいずいう意思衚明でもっお、この゚ッセむの筆を眮かせおもらう。

なお、僕がDay Oneを芋倱っおいる際には、ぜひTwitterからリプでボコボコにしおほしい。