未来に生き、欠けているものを創る

最近は長期的な未来を描き、方針を決めることに長い時間を投じてきた。やっと一つのストーリーが浮かび、今はどうExecutionするか、プロダクトの世界に戻ってきた。更に一段の覚悟を決めたこともある。

その過程で考えてきたことを、たまたまあるスタートアップの面々と話す機会があった。テーマは 「どんな未来に、どのくらいの時間軸で仕込むのか」 ということだ。

「未来に生き、欠けているものを創る」

一つ好きな言葉を紹介する。

「未来に生き、欠けているものを創る」 Paul Buchheit (Gmailの発案・開発者)

これは、発明を目指す上での1つの真理だと思う。

現状の改善ではなく、未来の当たり前になっているだろう状況と、現状の差分をプロダクトで埋めていくという考え方。

次のようなアプローチを取る。

この「未来に跳んだ思考」を利用して、「現在の当たり前」を創造している企業やプロダクトは強い。

それも、できるだけ遠くの未来を描こうとしている企業は、類似プロダクトと比較して「良いもの」ではなく「違うもの(= 異次元のもの)」に変貌する。2倍の違いは比較できるが、10倍違う(桁が違う)ものは比較ができない。

僕にとってまっさきに思い浮かぶ代表例は「The Everything Store」を掲げ本当に実現しつつあるAmazon。

だが、日本にも「跳んだ企業」はいくつもある。一つ例を挙げる。世界最強のコンビニ・セブンイレブンだ。彼らの異質さを挙げてみよう。

セブンイレブンによる「業界初」の一例

当時は「総合スーパー」全盛だった。そこに行けば何でも揃う。週末も過ごせる。スーパーが拡大していく中で、小規模の、劣化版スーパーとして捉えられていたコンビニは絶対に流行らないと言われていた。

翻って今、総合スーパーは「専門店」にその立ち位置を切り取られアンバンドル化。「いつでも、どこでも、高品質」は、セブンイレブンによって展開され、小売の最終型をアップデートし続けている。

セブンイレブンはコンビニの中でも圧倒的に異質だ。日販(1店舗あたりの平均日商)を比較すると、セブンイレブンが異次元なのがわかる。

競合を寄せ付けないこの展開力は、やはり「未来に跳んだ思考」から産まれている。44年前に創業者・鈴木氏が50年 ~ 100年先に仕込んだセブンイレブンが今ユニークなポジションを独占している。

長く仕込むものは、「現代から離れている」ので、夢がある。代わりにそれを実現するには相応のリソースが必要だ。信頼を構築し、このリソースを集めること、具体的なデザインをすること、着実に歩を進め「夢を幻覚にしないこと」に経営が責任を持たなければいけない。

対象的に、短期的に仕込もうとすると、どうしても短期的な営業キャッシュフローが欲しくなってしまう。当期PLが気になってしまう。でもそれで大きな未来を創るのはなかなか難しい、というのが正直なところだ。もちろん上手く両立する人もいるだろうが、僕は1つのことにしかフォーカスできなかった。

スタートアップが株式を放出・希釈までしてお金を集める理由は、営業キャッシュフローを一定無視してでも未来を創れ、というメッセージに等しいと思っている(少なくとも10Xはそういう思想でお金を預かっている)。

せっかく資金調達をしてまでスタートアップをしている。「本当に社会を変えそうな未来にチャレンジすること」こそ、本当に僕らが起業までしてしたかったことなんじゃないか、という話をした。

やるからには「未来のインフラ」を創りたい。未来から見下ろした時に、現状をクソだと言い、ギャップを具体的に埋める作業を自分の手でやってみたい。そうじゃないですか。

僕にも、自分なりの「現状がクソだと思えるポイント」と「こっちのほうが未来でしょ」をもって起業している。タベリーというプロダクトをリリースしたのはそのエントリーのためだ。

ただ、リリース時には正直なところ「遠すぎる未来への行き方」がデザインできなかった。大企業全盛の日本において、大きいことを大きくやろうしても道はほとんど防がれているように見える。そこへ、やっと最近、道筋を立てることができたところだ。

不確実性は依然として高いが、このポジションに賭け、より深く潜ることを決めた。自身の信じる未来を創る方に全額BETしていくことにした。