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プロダクトマネージャーの仕事(翻訳)
2年前の記事ですが、インターネット業界においてPMという定義の難しい職種がより一般的であるUSにおいて、その役割をかなり明確に定義した記事です。
「ぜひ日本の悩めるPM向けに翻訳・紹介させてくれ」と頼んだ所、快く了解いただいたので拙訳で恐縮ながら全文意訳してみました。

A Product Manager’s Job
プロダクトマネジメントは、あらゆる企業においてその求められる役割が異なることから、極めてその定義が難しい職種の一つです。私は数名のPMにちかい仕事をする友人との間で「プロダクトマネージャは?何ですか」について議論してきました。その内容をキャプチャし、共有したいと思います。
私が考えるプロダクトマネージャーの仕事は、ざっくり以下のとおりです。 > チームがユーザーへプロダクトを届けるための助けを行うこと
break downすると以下の様なものになります。
1)Help your team:
最高のプロダクトマネージャーは、チームを助けるにあたり優先順位の高いものに自分の時間のすべてを費やしています。 これらは、主に、
- (A)coordination - 計画を立て、意思決定を行い、明確な目的とフォーカスをもって効果的に協力出来るよう確かめること。
- (b)communication - 誰もが「いつ、なぜ、何が」起こっているかを理解すること。
なお、「チーム」とはプロダクトやサービス開発において、デザイナー、エンジニア、QA、ドキュメント、マーケティング、またはバックオフィスのサポート、法務等において共に働く仲間を指しています。
多くの人々は、プロダクトマネージャーについて「そのプロダクトの最高経営責任者(CEO)」もしくは「オーナー」として説明しますが、そのことが過剰な影響と権限をPMにもたらしていると思います。最高のチームは、全員が確かなオーナーシップをプロダクトに対して発揮し、互いにアイデアをもちより前へ進めていくことの出来るチームです。そのため最高のPMというのは、チーム全員からの情報を集め、反対意見に対し説明責任を果たし、コンセンサスを集め(少なくとも全員がプランにコミットできるようにし)、キーとなる意思決定を行うためのコーディネートを進めていく人間です。
それはPMが正解と考えている仕様をプロダクトに反映させていくことではありません。つまり、PMが最高のアイデアを保つ必要はなく、また盲目のもとにexecutionしてくれるチームを見つけることがゴールではありません。最高のPMとは、確かな優先度のもとで、チーム全体がコミットできるよう意思決定のプロセスを組み立てるのです。 ロングMTGの後でサマリーを書き残したり、仕様書を書いてコンセンサスをとったりすることで、より戦略的にチームを助けることができます。私はよくミーティングそのものより、こうしたドキュメントを残すことに多くの時間を割いています。多くのメンバーが関わるチームとコラボレートすることはすなわち、
- 多くのフィードバックを得て
- プランをシェアし
- ボトルネックや罠の存在を察知しながら
- ユーザーへプロダクトを届けていくことです。
Twitter社において、全てのチーム(グループ(解析、コミュニケーション、信託/安全性、サポート、オプス、法律、国際、デザイン)の心を捉えるため、我々はこのことを「 ACT SOLID」と読んでいました。
エンジニアがコードを産みだし、デザイナーがモックアップとグラフィックを作成する一方で、PMは有形の生産物を何一つプロダクトに対して産みだしません。しかしながら、最終的なチームとプロダクトの成否を分けるのはPMである、そう信じています。
2) (and company):
PMとして、会社の最終的なゴールや使命を理解し、チームにビジョンを浸透させていくことは必須の仕事であるといえます。 わたしがこれまでに一緒に働いた中で最高のPMたちは、この点に非常に長けていました。彼らPMは、頻繁にファウンダーのビジョンについて語り、そのビジョンにおいてこのチームが何をしようとしているのかを確認していました。どうやってゴールを達成し、彼らのプロダクトがいかに会社の戦略を支えているかを明言するのです。彼らは個人的に信じるプロダクトを創ることよりも、他のチームと連携し、会社の一部として動くことを重要だと考えていました。 私は様々なPMのインタビュー記事の中でいつもかならず「 いったい何度会社のビジョン、特にファウンダーCEOやグループのVPが語るビジョンについて言及したか」、「 そしてそのビジョンは何か」ということを探します。チームを助けることと同じように、PMに必要なのは素晴らしいアイデアを持つことではなく、アイデアをコアビジョンや会社のゴールと結びつけ、そしてチームが任務を実行するためのトップダウンサポートをすることなのです。
3) ship:
プロダクトをにユーザーに提供することよりも重要なことはありません。 あなたは、あなたのチームがクールなものを創造する手助けを行い、適切な製品を考え出すか、ビジョンを具現化することが得意かもしれませんが、それは実際に製品がユーザーの手元へ届けられて初めて意味を成します( すなわち、doneさせて初めて価値があります)。素晴らしいPMというのは、最高のものを創ることと、ユーザーへプロダクトを届けることの間にある矛盾の中で非常にトリッキーなバランスが必要なことをを理解しています。 チームは常にプロダクトを試し、テストし、早期のフィードバックに耳を傾けますが、すべてのプロジェクトは、あるタイミングでプロダクトが十分に準備ができていることの確認を行う必要があります(そしてそれは、実際に準備が完了するということは決してありません)。明確な目標と使命をもち、ユーザーへ意識が向いており、ユーザーへ実践出来るチームは、この最終的なトレードオフを必要なものとして受け入れられます。偉大なPMは、このトレードオフにケリを付けて前にすすめる事ができます。
4) the right product:
最高のPMはチームに「正しいプロダクトである」と浸透させる手助けをする。「現在存在しない機能」を追加することはたしかに楽しいことだが、「スラムダンク=ゲームを一変させる一手(意訳)」にはならない。一方、クリエイティブであり、そしてユーザーのニーズを満たし「これは正しいプロダクトだ」と感じるような新しいソリューションを編み出せるかどうかは、チーム次第である。素晴らしいPMは何が正しく、何が間違っているかについて良いセンスをもち、初期のテスターやプロダクトを試してくれる人々のフィードバックによく耳を傾けるのである。彼らPMはファウンダーやその他のリーダーからセンスを得てプロダクトを正しい方向へ導いていく。 より重要な事として、素晴らしいPMたちは、一度プロダクトがユーザーへ届けられた後それが正しいプロダクトであったかどうかを測定する。かれらは分析チームと密接に関わり、プロダクトが本当に人々に使われているのかどうかを厳しく確認する。一度プロダクトがユーザーへ届けられた後は、そのデータを貪欲に読み解き、どのパートが良くてどのパートが悪いかを特定し、すみやかに改善のためのプランと多くのテストを実行するものだ。
5) for your users:
プロダクトにとってもっとも難しい実装とは、あなたのプロダクトのコアとなるユースケースを明確にすることだ。誰が、何のためにこのプロダクトを使うのか、というストーリーを定義し無くてはならない。ベストのPMはユーザーにアダプトし、プロダクトに関する意思決定を行う際にはユーザーの声を届ける役割を果たす。
究極的な事実を伝えよう。それは全てのユーザーにとってベストなプロダクトというのは存在しない。すべてのプロダクトは開発し、改良し続けるプロセスの真っ直中にある。ベストなPMとは、このプロダクトの旅を気合と根性で支え抜く人間なのだ。
まとめと感想
Product Managerという職種自体が未だ希少な日本において(CEOとPMの違いも曖昧)、すでにPMの人材の厚みがあり、経験がある人間からの体系的なまとめはとてもクリアに響くと感じた。本稿で扱われているPMは、フェーズとしてはある程度規模が大きくなり(Growth期もしくは成熟期)、分業化が完了しているようなチームを率いるPMが対象といった内容に思える。 個人的にPMの役割はフェーズにダイナミックに変化する考えており、日本のスタートアップにとってはシリーズA以降のフェーズへ進んだ時の指針として非常に有用なドキュメントだと感じた。