5つのバイラルタイプ(翻訳)
この記事はGleylockのパートナー、Josh Elmanによる『The Five Types of Virality]』の翻訳記事です。
すべての起業家は人々の口コミ(バイラル)によってプロダクトが成長していくことを思い描いている。しかしバイラルを正しく理解するのは簡単じゃない。「アプリをバイラルさせよう」「もうすこしあなたのアプリに口コミ性をもたせたらどうか」など投資家は聞いてくるだろうが。。(これは「グロースハック」についても言える)
「みんなバイラルは魔法と勘違いしているんじゃないか」と感じることが時折ある。幸いにもそれよりはいくらか具体的に理解してくれているようだが。しかし、いかにバイラルがワークするかを理解するには、あなたはまずすべてのバイラルが同じではない、という認識を持つ必要がある。多くの成功した企業はバイラルをおこすためにそれぞれ異なる施策を実施してきた。これらの施策をうまく分類してみたいと思う。
あなたがプロダクトを成長させようとしているなら、「いかに人々にプロダクトのことを知ってもらうか」について、出来る限り具体的に考えたほうが良い。その方が、より「このプロダクトを試したい」と思ってもらえるよいな機能を創ることができる。当たり前だが、まずは人々に愛されるプロダクを創ることが大事なのだ。一度プロダクトを好きになってもらうと、ユーザーはより口コミするようになるだろう。しかしどうやってユーザーが話しやすいようなトピックや、話していて楽しくなるようなトピックを提供すれば良いだろうか?また素晴らしい体験をしたときや直後に、折に触れてプロダクトの口コミを想起させるにはどうしたら良いだろうか?あなたは「ユーザーのコアマインド」を正しく理解し、プロダクトについて広めてもらえるように知恵を絞る必要がある。
プロダクトやマーケティングプランの中に、ユーザーへのインセンティブプログラムを埋め込む必要はあるだろうか?プロダクトの中でユーザー自身が目に見えて、かつシェアできる何かを作り出す場合(例えば写真など)、どうやって周囲の人がプロダクトに自然に興味をもつようにシェアして貰えば良いだろうか?また関心層の人々が出来るだけシームレスに新しいユーザーへとコンバージョンするフローをどうやって確認すれば良いだろうか?
すべてのバイラル・タイプに通ずる最も基本的な要素はその”発端”である。すべてのバイラルのゴールは、人々に対し「このプロダクトは何ができるのか」を刷り込むことであり、彼らを「プロダクトを試したい」とエキサイトさせることだ。それこそがどんなバイラルにおいても重要な構成要素である。では、人々が実際にプロダクトを試したくなるような文章、フック、理由とはどんなものだろう?
私が見つけた5つの法則を教えよう。もしこれ以外にも知っていたら、ぜひ教えて欲しい。
口コミによるバイラル
これは簡単なもので、単純にプロダクトが良いためにユーザーが友達に教えたくなる、というものだ。例えばGoogleがスタートしたとき、あなたがAlta VistaやInfoseek、もしくはその他の検索エンジンを使っていたとする。彼らはあなたに「Googleを使いなよ、すごいいいぞ」と勧めてくる。そして次回からあなたはGoogleを使いはじめ、そしてすぐに誰かに勧めたくなるのだ。
数年前、はじめてiPhoneアプリを触ったとき、私のようなギークたちはPCとスマホでノートをsyncできるEvernoteについて広めていったものだ。ある人がスマホでノートをとり、Evernoteがいかにシンプルで使い勝手が良いかを語ってくる。そんな光景が数多く見られたものだ。
口コミを起こすもう一つのキーは「あとからプロダクトが簡単に見つかるかどうか」確認しておくことだ。思い出しやすい名前をつけることは確実に助けになる(GoogleはGoogolより簡単だ — )。母音をなくしたり、文字を重ねたり、正しいドメインやアプリ名を設定しない場合、プロダクトを思い出してもらうのは難しくなる。ひとつテストをしてみよう。新しい会社名をApp Storeで入力してみたときの先行入力を確認してみるのだ。例えばあなたのアプリが”InstaGreatCoolThing”という名前だったとき、あなたのアプリがInstagramと同じくらい大きいアプリでもない限り、検索結果はInstagramや類似アプリがでてくる。
もう一つのキーはプロダクトが説明しやすいかどうかだ。プロダクトを説明する際にあなたが用いる言葉 — ホームページや、プレスメッセージ、プロダクトの内部で使用する言葉が、そのままユーザーがそのプロダクトを人に説明するときのベースとなる。これはユーザーが他のユーザーに対してプロダクトを説明してもらう上で非常に重要なことだ。Googleにおける“I’m feeling lucky”や、Facebookにおける“Poke”のような、Funnyな機能もプロダクトの説明を頭に残りやすくしてくれる。もしプロダクトを説明する簡単な方法がない場合、ユーザーも同様に説明ができないと思ったほうが良い。
インセンティブ付きの口コミ
これは口コミに似ているが、友達へ広めてもらうために少しばかりのインセンティブを付けるものだ。例えばPaypalは15年前に友達がアカウントを作成したら$10をプレゼントするというキャンペーンを実施した。同様にDropboxやUberはインセンティブがうまく働いた好例だ。友人を紹介し双方が無料のストレージを獲得したり、初めの乗車を割引で利用できるようにした。
アカウントが新たに作成された際に、インセンティブは新規ユーザー向けのクーポンとして、また紹介者への報酬としてうまく働いた。サービスをディスカウントすることで、純粋な口コミほどクリーンではないがうまく働くものだ。
デモストレーションによる口コミ
デモストレーションによるバイラルは、プロダクトがシンプルで使いやすく、かつ人に見せびらかせる性質のものである時に生まれる。わかりやすい例はInstagramだ。2010年にスマホの写真をどこか別の場所へ移すのは難しいことだった。そこでInstagramは写真をTwitterやFacebook、Flickerなどで簡単にシェアできるツールを追加した。Instagramのフィルター機能は、そのネットワークにいる人々の注目を自然と集めた。「それどうやるの?」というリアクションを簡単に引き起こしたのだ。
Plismaがこの夏大流行した。Prismaを使うと、信じられないようなステンドグラスっぽい作品を作ることができ、Instagramなどどこへでもシェアできる。当然人々はどうやったらそれが可能になるか知りたがり、誰かに訪ねたりする。もしくは画像に埋め込まれた小さなPrismaロゴをみて、自身でアプリストアからダウンロードしたりする。
Musical.lyは同様の方法で、ユーザーやインフルエンサーが非常にクールなミュージックビデオを創り、Instagram、Facebook、YouTube、そしてMusical.lyで自身の音楽を作ってみたい人々の間でシェアされ、広がっている。
またPinterestの事例もある。おもしろいGIFやウェディングのアイデア、レシプなどを貼り付けたピンボードを創りシェアすると、そのシェアがピンタレストの素晴らしさを誇張するような内製の広告となる。
Uberもデモストレーション・バイラルの恩恵を早くから受けていた。あなたがミーティングへ黒いハイヤーで現れると、人々は「おい、リムジンを手に入れたのか?」と気になる。もしくはパーティーから帰る際にUberボタンを押すと、ハイヤーが現れる。その間、あなたの友人はタクシーを呼び止めるか、電話で呼びつける。Uberを使うと、あなたはいかにUberが優れている化を語る、歩く広告塔となるのだ。
伝染的なバイラル
人が誰か別の人と一緒に使うことで、両者にメリットが生まれるようにデザインされたプロダクトでは伝染的なバイラルが起こる。片方のユーザーが別のユーザーにウィルスを伝染させるのだ。つまり、プロダクトは両者を引きつける。例えば、Snapchatは互いに画像を送ったり消したりできる確実で安全な方法であり、多くの人にダウンロードを促すよう伝染するパワーを持ったプロダクトだ。Twitterも同様の方法で広がっている。もしあなたが私をフォローすると、私はより多くのフォロワーを獲得し、そしてあなたは私がリアルタイムに何をし、何をツイートしているのかを見ることができ、両者にメリットが生まれる。さらに、Nextdoorは非常に面白い事例である。たとえ人々が近所の人を知らなくても、彼らにポストカードを送りご近所コミュニティーを広げたりより参加者全員にとって生産的なコミュニティーを創れるようになる。そしてLinkedInやFacebookは極めて標準的なサンプルだ。人が同僚や友人をサービスへ招待し、広まっていったのだ。
招待状は伝染的に広がる上でのキーとなる。しかしながら、誤った招待状や過剰にスパムのような招待状がしばしばマイナスの効果をもたらす。誰かがあなたを「アドレスブックに存在するから」という理由のみでサービスへ招待するとき、個人的な感情やつながっているという感情はそこには存在しない。またもしあなたがサインアップしたとしても、その人は十分にプロダクトを使わず、次の人がアクティブになる可能性は大きく減少するだろう。
これは殆どの人が伝統的なバイラルについて考えることだ。なぜ我々はならここれまでにSNSやコミュニケーションの広がりを見てきた。また「友人からプロダクトに招待された」という特別な感情を嫌いな人がいるだろうか?しかし伝染的なバイラルはすべてのプロダクトに適用できるものではなく、またすべきでもない。プロダクトに招待する、という行為はプロダクト自体がソーシャルなものでない限り、絶対にうまくいかない。だから我々はこの方法を注意して使っているし、本当にプロダクトにフィットしているのかを注意深く確認している。
突発的なバイラル
最後に、いくつかのプロダクトは「シェアが面白い」もしくは「人気のモメンタムをつかみ、シェアすることでクールに見える」といった理由で広がる。YouTubeビデオは、それらが面白く、中毒性があり、そして友人とシェアするのが楽しいという単純な理由で人気が爆発した。
同様にPokemon Goはこの夏に大ブレイクしたが、それは皆がそれをプレイし、友達とそのことについて話したり自身が参加すること自体が楽しかったからだ。もちろん成功には他の側面もある。例えばエスタブリッシュなポケモンブランドによるレバレッジがあったことは確かだが、同様にで楽しさ、人気、シェアという高次元のサイクルによる恩恵があったことも忘れてはならない。
すべてを一緒に
これらは異なるツールであり、それぞれ違った働きをすると理解したとき、あなたは自然にバイラルをプロダクトの中に内包できる。
私はよくこう話す創業者と会う。
「プロダクトの中に招待フローを入れようと思います」
彼らは殆どの場合失敗する。ポジションがよくなかったり、導入の仕方が悪かったりすると、招待フローは多量の逆効果な招待を生み、新しいユーザーへ転化しない。プロダクトを気に入ってくれず、一見さんがたくさん来るだけだ。招待する側とされる側の双方にメリットが有り、本当にプロダクトに適している場合を除いて、伝染的なバイラルを試そうとは思わないことだ。
伝染の瞬間を作ることに成功したとき、また誰かの脳にプロダクトを刷り込んだとき、すぐさま「新規ユーザーフロー」へとフォローアップする必要がある。Webやアプリストアへ来る人は、プロダクトを試す準備ができている。彼らはプロダクトに興味を示し、試すことにエキサイトしている。この時がベストのチャンスなのだ。プロダクトが習慣になるチャンスに、オンボーディングのプロセスを直ちに開始する必要がある。そして新しいユーザーに次の人々へプロダクトを広めてもらうチャンスでもある。
マスを欺き、すぐさま多くの人にプロダクトを見てもらい、試してもらうことは可能だ。しかしユーザーを誤った理由で誘引した場合、ユーザーはプロダクトになじまず、もしくは馴染んだとしても十分な期間使用してくれたり、バイラルしてくれることはないだろう。バイラルをハックしようと考えているときはいつでも、「正しい人にリーチしているか?」「プロダクトの本質的なバリューに関心をもってもらえているか?」「正しいアクションへ導けるか」という点を確認しなくてはいけない。
私はいまだにSnapchatへ初めて招待されたときのことを覚えている。ある友人がジョインするようにメッセージをくれたのだ。おかげで我々は楽しい顔文字を送りあったり、消したりできる。ジョインした時、彼が私にしたことは顔文字を送ったことだったし、我々は十分にそのコミュニケーションを楽しんだ。バイラル・フックは初めての起動で私に刺さったのだ。その後我々は多くのコミュニケーションをとり、そして多くの友人がSnapchatにジョインした。もしSnapchatが登録した全員に無料のビールを振る舞ったとしら、より早くユーザーを獲得したことだろう。しかしそうやってジョインした人々は、ビールがなくなれば去っていったはずだ。
この日の最後に、本当に必要な指標を覚えてほしい。「一体何人が実際にあなたのプロダクトを使っているか」だ。ダウンロードではない、クリックでもない、1日試したユーザーでもない。現在も使っているユーザーだ。バイラルテクニックは「使い続けるユーザーをどれだけ獲得できるか」が唯一のゴールなのである。