📒
「偏執」をユーザーに問うこと
プロダクトのタクトを振るうプロダクトマネージャー。このポジションの本質的な仕事とは一体どんなものなのか? 2年弱の実践を踏まえて僕の意見をまとめてみたいと思う。
プロダクトマネージャーのタスク
プロダクトマネージャーの仕事は正直なところ100人に聞いたら100通りあってよいと思う。 たとえば僕がタスクレベルで持っているものを書き出してみると
requirementを決める
- エンジニアとビジネスサイドとのブリッジ
- 開発の進行管理
- プロダクトデザイン
- プロトタイピング
- プロダクトマーケティング
デザインやマーケティングは本来メインとして行うべきではないと思っているのだが、現状的にデザイナーもいないしマーケを任せる人もいない、というケースではプロダクトマネージャーが行う。特に0→1フェーズではよくあるケースだろう。後述するが、この2つはPMハンドリングを推奨する項目だと最近は思っている。
上記のタスクリストについてはどのプロダクトマネージャに尋ねてもどれかひとつは飛び出すキーワードかなと。 タスクは広範にわたり、同時に多くの場合プロダクト=サービスの成長に責任を持っているポジションであることがタスクからわかる。
その本質は?
最近は掲題のプロダクトマネージャーという”個人”がもつ超個人的な「偏執」をユーザーに問うことこそが仕事の本質だと考えるようになった。
プロダクトマネージャーを仕事として行うにあたり、海外文献やweb資料を相当量読んだだが、多くの経験者は
顧客要望(ProductMarketFit)を満たす ことが仕事の本質だと主張されていることが多い。が、これだけだとどうもしっくりこない。
顧客要望=(顕在化していないものも含めた)顧客の欲しているrequirement だと理解しているが、
- そもそも顧客は自分が欲しいものを理解していない
- 顧客の数だけ要望がある
- というありふれた前提に立ち返ると、実は「顧客要望」なんて耳障りのいい、わかりやすいものは実はこの世に存在しないことに気づく。
多くの顧客が求めることの最小公倍数はたしかに定めることができるが、それを実装しただけではMinimum Valuable Productにすぎない その先の未来をProductに詰め込もうとする場合、requirementを定める際にデータやVOCだけでは決め切ることができなくなってしまう。 Productを決めて創って送り出し、運用する。 その始めの「決める」にあたり最終的にはPMの「偏執」「思い込み」が大事だし、それこそがPMに求められる本質だと思う。
すなわち超個人的な思いをProductに持つ必要があり、それって相当な「熱量」や逃げない「意志」「覚悟」が必要なので、多くのstartupにおいてPM=CEOという構図はわかりやすい。
「偏執」を持つにはどうしたらいいか?
人がアイデアを捻り出すことと同義なので、以下の名著と同じことをするしか無いと思っている
- 大量にinputする。PMが得るべきinputの最優先事項データ、データ、データ
- 超考えるのと実際に手を動かす。捻れるほど考えて創ってボツにするを繰り替えす
- ふとリラックスして神が降りてくるのを待つ
- 3番めについてはジョギングを活用している。結構降ってくる。健康管理にもなって一石二鳥。 あと、新しい物を作る前に顧客に話を聞きに行くのはおすすめしない。顧客にはできてから聞きに行け。だ。
補足:デザインとマーケはPMがやれ
僕が携わるProductがIT Techなものなので、それに限った話かもしれないが勝ちたいならば「デザインとマーケはPMがやるべき」「もしくは深く理解すべし」というのが僕の主張だ。インターネットサービスにおいて95%のコンテンツがコモデティ化しているからこそ、差別化要因はProductで持つべきだと思っている。
- デザインとはユーザーの動きを半強制的に定める行為。建物の設計と同じ。
- マーケはユーザーにProductの旨味成分を伝えることで知ってもらい、おいしく食べてもらうこと。
- この2つの要素以外で以外で、「新しい」Productが生まれにくいと感じている。 特にECのような、ITサービスの中でも歴史が長く、物の流通フラット化も早い領域時代だと「商材」がもつ優位性はどんどんなくなってきている (その流れを創ったのはAmazonだが)。
顧客がコンバージョンする理由を創る。それにはデザインとマーケの力が必要なのではないか。
まとめ
- Product Manager(PM)の仕事が何か、タスクベースではあまりに広範に渡るので本質を考えてみた
- 思い込みとも言える「偏執」を市場にいるユーザーに問うことがPMの仕事の本質
- 当たり前だがプロダクトやサービスは世の中に出してみないと結果がわからない(それは今この世に無いものだから)
- 人材要件的には「偏執」と「責任感」そしてチューニングし続けて最良の状態にするという「意志」が必要。