「Clubhouse」を使ってみた感想

2021/1/24にDCM原さんに誘われてClubhouse上でClubhouseについて語るイベントをホストしました。そこでの議論、そして使ってみて得た感想をかんたんにまとめたものです。Clubhouseは大型調達を機に今後も大きな変化をしていくと思うのですが、「今の」個人的なスナップショットとしてここにまとめておきます。
 

 
  • ソーシャルヒエラルキーが前提にある。例えばZOOMでウェビナーやるとすると、「ホスト」「オーディエンス」の2種類の人しか存在しない。
  • Clubhouse(以下Ch)は、「ホスト」「スピーカー」「ホストとスピーカーの友達」「オーディエンス」の4パターンが同時に存在する。この範囲も部屋の作り方で制限できる。オープンルームは4種類全部、ソーシャルルームは3種類、クローズドルームは2種類しか存在しない。
  • そのためこれはソーシャルグラフのなかで使うサービスになっている。インタレストグラフで繋がるミラティブやmixi communityの真逆。
  • 故に「すでにソーシャルグラフの資産を持っている人」はホストをして楽しめるし、オーディエンスをコントロールできるので少し危ない話をしやすい。アーカイブも残らないことがこれに拍車をかける。
  • 他方でオーディエンスは「もしかしたらあのAさんの裏話を聞けるかも、いや、聞き逃すまい」というFOMO(fear of missing out)が強く働きやすい。そのために何度もアプリを開いてしまう。
  • 僕のようなPodcastをたくさん撮っている人は多分別の見え方がある。まずは「一人で話すのに比べて圧倒的に準備が不要」で、コミュニケーションがコンテンツになる。ただそれは「自分に名前があり、相手にも名前があるとき」に限定される。
  • あとPodcastを聞いている人からすると、視聴体験がかなり不便。あるピンポイントの時間にしか聞けないという瞬間価値の高さ故に。
  • 個人的に一番気になるのはこれを30日後にも果たして使い続けるのか、という論点。Podcastをやっているが、そんなにネタが持つ人がいるとは思えない。話しきれる人以外には難しく、発信者になるハードルは低いが続けるハードルは極めて高いと思う。
  • ちなみに資本市場でもFOMOで投資が集まっていると感じる。ちょうど今朝報じられていたシリーズBはa16zがリードし、180人ものエンジェルがこれまでに集まっていることで注目を浴びている。アナウンスされたチップ・チケット・サブスク機能などが本当にワークするかはかなり懐疑的(ソーシャルグラフの中で投げ銭がうまく言った例を知らない)。
    • ちなみにこのラウンドをリードしたAndrew ChanはCh上でフォロワー67万をすでに抱えている。Twitterは14年やってて19万なのですでに3倍。
  • また音声系で「人が集まればマネタイズできる」というのもProvenな仮説ではないと思う。C向けのNext Big Thingになりうるかもという期待値だけで投資が集まっているのかもしれない。それもC向けのC向けらしさであり、このトレンドを一人の傍観者として楽しめることに感謝したい。